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コラム2024年09月「依存症課の冒険 アメシストの輝き」
江別すずらん病院には依存症課という部署がある。依存症治療そのものはもう十年以上やってきたのだが、正式な担当部署として独立したのは近年の話。しかもメンバーは依存症課専属ではなく、みんなそれぞれの業務もしながら依存症課の仕事をしている状態だ。
かといって活気がない部署かというとそんなことはなく、まさに少数精鋭、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、心理士、そしてヘッポコ医師と、これでクリニック一つ開院できるくらいの将来有望なメンツが揃っている。
そんな依存症課の主な業務は、お酒・薬物・ギャンブルなどのお悩み相談を受けることに始まり、通院中・入院中の患者さんを対象にミーティングプログラムを開催、さらに患者さんのご家族を対象とした家族会や職員を対象とした研修会なども企画している。
そしてもう一つ、講演活動も大切な業務。依存症はお薬で治す病気ではない。患者さんやそのご家族、そしてもちろん支援者がこの難病について学び深く理解することが回復に直結するのだ。講演会は参加してくださった方が依存症について理解する上でも、準備するこちらがちゃんと知識を整理する上でも、非常に有意義である。
2024年9月29日(日)、『アメシスト』という女性のアルコール依存症当事者の会に招かれお話をしてきた。性別よりも個性・多様性が重視される時代。とはいえ依存症の罹患に性別は少なからず影響しているし、生物学的にも性差というものは病態の解明において重要な視点である。これまで依存症を考える時に男女差というものをあまり特別視していなかったので、今回の講演会はアメシストのみなさんの言葉にとてもよい学びをいただいた。治療の専門家は医者かもしれないが、やはり症状と生き方の専門家は患者さん自身なのだ。
…それにしても、会場にまさか北海道ナンバーワンの依存症専門ドクターがいらっしゃるとは。これでは新人歌手が美空ひばりさんの前で歌うようなもの。予想外の緊張に包まれての講演でしたが、あたたかくフォローしてくださって本当にありがとうございました。
(文:福場将太)