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すずらん広報倶楽部
2013年10月 突撃取材第4回『病院の台所をきりもりする栄養管理課に突入』
■今回の登場人物
<今回お話を伺ったのは…>
木下 由佳理(きのした ゆかり)
栄養管理課主任で管理栄養士。
分かりやすく丁寧な説明で、日常業務のほか健康相談などの行事でも活躍している。仕事はきっちりしているが、親しい関係者からはプライベートとの差が激しいとの情報も…。『仕事が終わると…結構適当です!』
藤中 智恵(ふじなか ちえ)
常に冷静沈着な栄養管理課の頭脳。管理栄養士。
精密な仕事に対し『実はサイボーグなのでは?』との声もちらほら。『取材とか急に言われても…事前にきちんと準備したかったんですけど。』
上田 さゆり(うえだ さゆり)
HPでコラムも担当している栄養士。
個性が強すぎる管理栄養士達と厨房との緩衝材的な存在でもある。『自分で言うのもなんですけど…。コラム、結構良くないですか?』
<今回取材を行ったのは…>
左:原田 志乃(はらだ しの):精神保健福祉士
遅れてきて試食はてきぱきと。常識人の想定をいつも裏切る、当法人の台風の目。
『キャラ勝手に作らないでください〜。あと、試食終わったら帰っていいですか〜?』
左:渡辺 祥子(わたなべ よしこ):精神保健福祉士。
原田記者が遅刻したためやむなく参加。『勉強になりました!それにしてもうちの後輩…。』
中:澤目 亜希(さわめ あき):精神保健福祉士。
主演女優として次回取材予定なので今回はサポート役。『とにかく次回を楽しみにしていてください。』
右:加藤 二郎(かとう じろう)職権乱用著しいHP管理者
『番外編の方が面白いとか言わないように。』
***
原田:今回で突撃取材は4回目、番外編も入れると5回目となりました。
加藤:何とか「3日坊主」の域は脱しましたね。しかし「働く職員の姿を紹介する」という趣旨からすると、まだまだ終了するわけにはいきません。
原田:そうですね。前回の「番外編」以後、「次はどこのお店に行くの?」といった質問も院内で聞かれます。この「突撃取材」の趣旨は再度強調したいですね…。
加藤:すると…。前回の「番外編」からの流れで、しかも「突撃取材」の趣旨も確認できる。そんな部署への取材ができればベストですね。
【打ち合わせ風景】半分くらいは雑談でしたが。
木下:という流れでうちに来たわけですね。
藤中:食事つながりで真面目な内容ということですね。でも前回からのつながりは必要だったのですか?しかも原田さんはどうしたのですか?
渡辺:前回、取材に参加できずスイーツを食べ損ねたので…。今回こそは何かいいことがあればいいな〜と言ってたけど…。来ないですね。
【取材前の栄養管理課】やはり、ちょっと緊張します…。
加藤:まあいつかは来ると思いますが…。他の記者もいるので、取材を始めたいと思います。まず、栄養管理課の業務の内容を簡単に教えてください。
木下:当然のことながら、入院している患者さんに管理の行き届いた食事を提供するのが業務の一つとなります。ただ、確かに食事は作るのですがそれだけではなく、患者さん個々を良く観察し、食事をとることが難しそうな方に、都度適切な援助ができるようにすることをより重要視しています。
渡辺:確かに病棟で良くお会いしますよね…。担当などは決まっているのでしょうか?
木下:2・3Fは私、4・5Fは藤中管理栄養士が担当し、できるだけ病棟を訪問して適切なアドバイスもできるようにしています。
澤目:患者さんの病態に応じていろいろな種類の食事を作るのはとても大変そうな印象がありますが…。
上田:ある程度はパターン化されていますが、やはりそれなりの種類になります。
木下:常食を基準とし、病態によって必要なエネルギー量などにより献立を調整するイメージです(移行献立といいます)。
澤目:糖尿病食、腎臓病食など、特別食を作るのは大変そうですよね。
木下:腎臓病になると塩分、タンパク質、カリウムなどいろいろな制限がかかるのでもっとも大変です。一方、糖尿病食や肝臓病食はバランス食的です。
渡辺:バランス食というのは常食と同じようなものですか?
木下:当院の常食は、当然のことながら栄養のバランスがとれた食事です!
澤目:あと…ダイエット目的などで食事をとろうとしない患者さんにはどのようなアドバイスをするのでしょうか?
木下:本人に食べる気がない場合は実際のところは難しいです。
澤目:思考抑制されているのでやはり難しいですか?
木下:ただ、『拒食になりそうだ』という初期の段階で相談をいただき、適切にアドバイスができたケースもあります。
澤目:献立の面では、特に気を使っている点はありますか?
上田:献立については、できるだけ季節感が出るように気を付けています。カロリーなどの制約もあり、難しい部分もありますが…。ちなみに来月はさつまいもごはんの予定です(コラムにて別途紹介予定です)。
澤目:そういえば、昼食に骨のない魚が良く出ますが…。あれはどういった仕組みなのでしょうか?
藤中:骨抜きをし、特殊な接着剤で接着するようなものもあるようです。骨がある魚の方がおいしいのでしょうが、患者さんの状況に応じて『骨なし』を選択する場合も増えています。
渡辺:食事一つとってもすごく考えられていることが分かりました。その他、栄養管理課の主要業務というのはありますか?
木下:厨房の『衛生管理』があります。
藤中:夏は夏で30度を超え、食中毒対策などが重要となりますが、ノロウィルスの感染リスクが高まるこれからの季節は本当に神経を使います。
渡辺:対策というと…どういったことをするのでしょうか?
上田:例えば、これは通年実施しますが…温菜は必ず温度計を中心まで刺し、85度以上であることを確認しています。あと、納品時の温度は10度以下となるようにしています。生野菜の献立の時に、野菜を消毒しているの知っていましたか?
渡辺:食事を作るのって何だか難しいですね…。自宅の食事もやはり気を使っているのでしょうか?
木下:自宅では時間がなく、ぱぱっと作ってしまうので…あまり気を使っていません(笑)。
藤中:そうはいっても糖分や塩分には気を使っているみたいですよ。
木下:確かに糖分はあまりとらせないですね。
***
原田:すいません〜〜。
【原田記者登場】遅れてきたのを軽いボケでごまかそうとし、そして何事もなかったかのように取材を始める、の図。
原田:当院では職員の昼食も栄養管理課で作ってくれていますが…。日によって食事の量にばらつきが感じられる気がします。献立作りって大変なんでしょうね?
上田:基本的に味付けなどは患者さんと職員で変わりません。ただ、食べる量が多いので作る量の調整には気を使っています。開院当初の1日60食から、現在は1日70食程度まで増えているので結構な負担にはなっています。これ以上増えたら…職員給食やめたい…。
原田:えええ〜。楽しみにしているので止めないでください!
原田:次に、栄養管理課の業務の醍醐味(楽しいこと・つらいこと・難しいこと等)を教えてください。
木下:私は日々、壁にぶつかっています。ただ、栄養管理は自分のためにもなり周りの人のためにもなるのが面白いのではないでしょうか?
上田:私は…他の仕事をしたことがなかったので急に言われても良くわかりません。
藤中:でも、患者さんが一口でも食べてくれた時は…やはり嬉しいですね。
***
加藤:原田さん、最初のボケはともかく、その後は正統派な取材をしてますな。心を入れ替えましたか?
原田:そうです。でももう真面目なのはそろそろいいですか?こういうところって、新しい食材の試食とかしないのですか?今日は…ないですよね〜?
藤中:いや…偶然(?)ですがいくつかあります。まずは…豆腐味のゼリーです。
【試食の風景】まいう〜!な顔を隠す渡辺記者
澤目:これに『だし』をかけてもおいしそうです。
藤中:確かにそういった用途でも使用できます。ただ今回は鮭の飲み込みを良くするために使用することを考えています。このゼリーを鮭とまぜると…。
【試食食材】ゼリー(上)を鮭(左)に混ぜると…鮭(右)になります。
鮭にありがちな「ポソポソ感」がかなり改善されます。
原田:ごちそう様でした〜。最後に、栄養管理課としての今後の展望などあれば教えてください。
木下:…・。ううむ…。
上田:…現状維持…ですか?
木下:色々やりたい事はありますが、ここで話して実現できなかったら困るので、後のお楽しみって感じにしておいてください…。
藤中:実現できそうな事の一つとしては、例えば自助食器や特殊なスプーンなど、患者さん個々の病態に応じた器具の導入なども検討しています。特に当院は4・5Fに認知症の患者さんが多いので、そういった患者さんへの対応をより具体的に検討したいと考えます。
原田:ありがとうございました!
【いろいろな食器】ひっくり返りにくい食器、もちやすい箸・スプーンなどです。こちらの世界も奥が深そうですが、時間切れで詳しいお話はお預けとなりました。
(平成25年10月16日に取材を行いました。)