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コラム
コラム2023年04月「11ページ」
毎年恒例の航海日誌、その11ページ目となった令和4年度を振り返ってみよう。
コロナ禍としては三年目、過去二年と比較すると、江別すずらん病院においてはデイケア・作業療法・依存症勉強会といった集団療法が少しずつ勢いを回復させていった。まだ以前と同じ内容とはいかないまでも、自粛から脱しつつあるのは喜ばしいことである。美唄・北広島・福岡の三つのサテライトクリニックも、感染対策をしながらの診療が定着し、次なる一歩を考える余裕が生まれて来たのではないだろうか。
日々の会話や講演会のテーマでも心の健康に目を向けた話題が増え、とにかく命を守ることだけを優先してきた時期を抜け出したと感じる。命はもちろんかけがえのないもの、ただ同じくらいかけがえのないものとして心もこれからは大切にしていかなければならない。
と、そんなことを思い始めた頃に発生したのが病棟でのクラスター。他の多くの病院でも起きていることでありけっして不運なことではない。むしろ感染対策が難しい精神科病院の構造でこれまで予防できていたのは現場の努力の賜物であり、クラスターの中で心身に鞭打ってコロナと闘い患者さんたちを守ってくれたスタッフのみんなには感謝しかない。こんな文章では到底書ききれないが、本当にありがとうございました。
人間にとって大切なのは命か心か。優先すべきは命か心か。これは医療の永遠のテーマの一つであり、昨年度はまさにそれを突き付けられた一年だった。まだコロナの波が寄せる海原を進む一隻の母船と三隻の舟。それでも今年度は少し穏やかな風が吹いてほしい。命にも心にも目を向けながら、新しい航海術を模索していこう。
(文:クルー)