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コラム
コラム2014年12月「TAKKYU-卓球- ~この世で一番強いヤツ~」
卓球。
わずか2.7mの台を挟んで向かい合い、直径40㎜のピンポン球を打ち合う競技である。
熟練者のスマッシュとなると打球速度は100㎞/hを優に超え、時には2.7mの台を抜けていくのに0.1秒もかからない。
相手が反応すらできない強打を打ち込むこともあれば、時にはそのスピードを犠牲にしてでも強烈な回転をかけて相手のミスを誘う。
あるいは回転をかけたと見せかける。
今大会も前回の春の大会と同様、出場全10チームをAとBにグループ分けし、予選リーグを行った。
そして、激闘を制したそれぞれのグループの1位通過、2位通過同士が対戦、1位から4位までの順位を争った。
以下に今大会の出場チームを紹介する。
グループAエントリーチーム
▲アザレアAチーム
今大会2チームを要する2階病棟の筆頭。相手を翻弄するK松看護師のサーブが場内のどよめきを誘う。
▲チーム肩こり
3階病棟からのエントリー。勤務の関係上K桐、M上両ヘルパーのゴールデンコンビを組める機会が少なかった。
▲チームワタウメ
5階病棟W谷課長とU本看護部長の強豪ペア。技術だけではないそのオーラが40㎜のピンポン玉に宿る。
グループA残り2チームは後述する。
グループBエントリーチーム
▲アザレアBチーム
2階病棟からのもう一組の刺客。両名の技術もさることながら、2階病棟はK藤課長の圧倒的な声援が相手チームを追い詰める。
▲スマイルパワーチーム
隠れた実力者K藤放射線技師と外来N野主任のタッグ。特にN野主任は熱戦になるほど"覚醒"する。
▲チーム事務卓球
前大会の打ち上げ時にこのペアでの出場を明言した事務部のチーム。激闘の最終戦後、K村事務部長は「最後の試合が一番楽しかった」という名言を残した。
グループB残り2チームについても後述する。
ここで、今大会の審判団を紹介する。
▲N友審判部長
何故こんなマーベラスなショットがカメラに収められているのか甚だ疑問であるが、今大会の全てを取り仕切る若き司令塔。何故か250枚ぐらいある写真の中に一度として写り込んでいないH條PSWと共に、リーグの作成や日程調整などを一手に引き受けた。
▲Y平審判補佐(筆者)
面倒な部分は全てN友審判部長に丸投げし、ヘラヘラと無情な審判をする作業療法士。というか、まさか自分がこんなに写真を撮られているとは思わなかった。
数々の激戦、名勝負を乗り越え
決勝戦、3位4位決定戦に出場したチームがこちら
▲チームもとにぃとなっちゃん
グループB2位通過で3位4位決定戦に出場。当院院長であるY田先生のテニス仕込みの強烈なスマッシュと、3階病棟I川課長の安定した守りが絶妙なバランスのオールラウンドチーム。最終戦ではフルセットのデュースという壮絶な試合を演じるも、惜しくも敗れ4位。
▲デリシャスチーム
グループA2位通過。隠れたスポーツマンY口先生と、熱き本格派4階病棟F川課長の攻撃型チーム。Y口先生の巧みなサーブとF川課長の計算されたスマッシュが周囲を魅了。美しいプレースタイルで見事3位に輝く。
▲チーム四十路
グループA1位通過で決勝に駒を進めた、デイケア課澤G主任とS田PSWのペア。卓球はスピードだけではないという言葉を体現しているかのような、S田PSWのサウスポースタイルからのバックハンドカットと澤G主任のミスの少ない返球が特徴の守備型のチーム。この二人の打球の回転量の違いが相手のミスを誘い、抜群の安定感で得点を重ねるいぶし銀の戦術が功を奏し、今大会準優勝を飾る。
そして…
▲チームT橋 A藤
5階病棟からエントリーし、グループBを1位通過。派手な強打があるわけでもなく、鋭い回転をかけるわけでもないが、相手に考える間を与えないテンポの良さが魅力の、今大会チャンピオンチーム。打球の安定性やコースの良さも重なり、気がつけば相手を窮地に追い込んでいる魔力を備える。このチームが行う試合はしばしば短時間で決着がつく。終業後の秘密特訓の成果が実り、見事優勝を勝ち取った。
全日程終了後には表彰式も行われ、激闘の卓球大会は幕を閉じた。
「卓球はメンタルのスポーツだ」という言葉を聞いたこともあるが、さらにそのダブルスという競技は、ものの数秒で返ってくる打球に対応するために、相手だけではなく、自チームのペア同士の協調も重大な要素となる。具体的には、自分がボールを打ち返した後ペアが相手の返球にスムーズに備えるためにどのように避ければいいのか、どのコースに打てばペアが対応しやすいコースに返球されてくる可能性が高いか、どのくらいの打球速度であればペアは相手の返球に間に合うのか…。
競技者は常にペアの相手に気を配り、ペアの行動をある程度予測して自分の行動を決定していく。あるいは、自分がペアに「こう動いてもらいたい」という思いを実現するために、動きの選択肢を準備する。
これは、しばしば医療の現場で働いていると自然に使っている技法なのではないかと思う。特に精神科においては、その症状により患者様が治療方針に納得されず、医療者側の提案を受け入れていただけない場合も無くはない。もちろんいずれは症状が落ち着き、治療方針に納得していただくことで患者様の退院に繋がっていくのだが、そうではない状況でも医療者側は「お薬飲みませんか?」「お風呂に入りませんか?」「少しお部屋から出てみませんか?」と声を掛けていく必要がある。その際に、できる限り患者様の気持ちに寄り添い、健康的な生活を取り戻していただくために、私達はいろいろなご提案をさせていただいていることに気が付く。
と、そうは言ってみても、台を挟んで相手と向かい合えば、1点1点の熾烈な奪い合いであることに変わりはなく、夢中でボールを追いかけている間に勝負は決まる。
優勝する人がいれば、予選敗退の人もいる過酷なスポーツなのである。
今回も熱い戦いが繰り広げられた秋の卓球大会。気がつけばスポーツの秋とも言えない時期になってしまったが、皆さんもこの機に(ぇ?)ピンポン玉とラケットを手に取ってみてはいかがでしょうか。
(文:審判補佐 写真:リハビリテーション課)