デイケア活動日誌

2021年09月『コロナフレイルに御用心』

 フレイルという言葉を健康番組で耳にするようになってどのくらい経つだろうか。本来は加齢によって心身の機能が衰えた状態を指す言葉だが、近年は加齢以外の原因のフレイルが注目されている。その原因は新型コロナウイルス。コロナに感染してフレイルになるのではなく、感染予防で家にこもっているせいでフレイルになってしまうのだ。

 当クリニックのデイケアも緊急事態宣言に合わせて再び人数を分散しての少人数利用にさせてもらった。もちろん人ごみを避ける方が感染対策には良いのだが、一人で家にいることで生じてくるフレイルをいかに予防するかというのが大きなテーマだった。せっかくコロナを予防しても、そのせいで筋力が低下したり、うつ病や認知症が悪化したりしてはまずい。コロナの時代になり、精神科医療は葛藤の連続である。

 9月7日(火)のこころの保健室では思い切ってコロナ自粛によるフレイルをテーマにしてみた。いかに自粛をしながら心身の機能を衰えさせずに過ごせるかをみんなに考えてもらった。挙げていくと色々工夫できることはあるものだなと感じた。

 心の医療ではリズムが大切。規則正しい生活、スケジュールに沿った治療によって心身の安定が保たれる。実際に予定の変更で調子を崩してしまう患者さんは少なくない。
 でも今はそれができない。予定は未定、コロナの情勢によって延期したり中止したりが日常。デイケアの参加頻度だって頻繁に変更してもらわねばならないのが現状だ。
 患者さんにとってもスタッフにとっても試練の時である。いつか世の中が落ち着いた時、せっかく自由に動いてよいとなったのにフレイルで動けませんではもったいない。
 心と体のパワーを弱らせないようにしよう!

(文:福場将太)

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