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コラム2024年04月「これからって時に」
この仕事をしていると時々思う、「これからって時に」と。もちろんどんな場合においても病気とは悲しいものなのだが、発病したり病状が悪化したりするタイミングがどうして今なんだと神様に文句を言いたくなる時がある。例えばアルコール依存症の患者さんが治療を頑張ってこれから家族と仲直りできそうだったタイミングで体が限界を迎えたり、長年仕事を頑張ってきた人が引退してこれから楽しもうとしていたタイミングで病魔に襲われたり。この数年間においては、人生の重要な好機のタイミングで新型コロナウイルスに感染してそのチャンスを見送ったという人もたくさんいただろう。
「これからって時に」はとても悔しい気持ち。ただそれは期待や希望があったからこその悔しさだ。動き出す前に出鼻をくじかれてしまったとしても、ちゃんと一歩踏み出そうとしていたことを忘れてはならない。動くつもりがなくて動かなかったのと、動こうとして動けなかったのとでは意味が全く違う。前向きに心のベクトルが未来へ向かっていたからこその「これからって時に」なのだ。
病気だけではない。人生において悲しいことは突然に起こる。作者の急逝によって未完になってしまった作品もたくさんあるが、それでも中途半端に終わるなら最初から書かない方がよかったなんてことはけっしてない。だって、ちゃんと続きはあったのだから。
新年度、心のベクトルを前に向けて、もし何かあった時にも「これからって時に」とちゃんと悔しく思える生き方をしたい。
(文:福場将太)