コラム

コラム2023年1月「改めてありがとう」

 大ヒットしたテレビドラマ『平成版 白い巨塔』にこんなワンシーンがある。医療ミスをめぐる裁判で大学病院に不利な証言をして職を追われた里見医師が訪ねてきた恩師の大河内教授にこう語るのだ…「診察する場を失って身にしみました。私は患者を救っていたのではなく、患者によって救われていたのだと」。

 これは心の医療の現場でもよく感じることで、患者さんの話を聞きながら自分自身が元気をもらえることはけっして少なくない。もちろん患者さんは何らかの悩みを持ってここに通われているわけだが、そのひたむきさや純粋さに心を打たれたり、ユーモアや茶目っ気にほっこりさせられたり、優しさや思いやりにこちらが癒されたりする。まったく、カウンセラーはどっちなんだという話だが、こうやって人と人とのふれ合いが心に起こす化学反応こそこの医療の醍醐味だと思う。

 昨年コロナに感染して復帰した後、「大丈夫でしたか?」「お元気そうで安心しました」などなど、診察の時にあたたかい言葉をかけてくれる患者さんがたくさんいた。自分の命は多くの人たちに支えられていることを実感した。また同じくコロナを経験した患者さんとは一つ共通の話題ができてそれもまた楽しかった。病苦も笑いにして生きる、これも人間の心が持っている素敵な力なのだろう。

 さて、2023年の幕開けだ。コロナとも引き続きつき合っていかねばなるまいよ。全てを元に戻すことはもうできないけど、この時代だからこそできる新しい医療のアイデアを今年は具体化していきたい。
 2023という数字は素因数分解すると17x17x7だ。セブンティーンを二乗してさらにラッキーセブンを掛け合わせた数字と考えれば、なんだか青春の息吹が溢れる幸運の年にも思えてくるじゃないか。

 患者さんたち、そしてスタッフのみんな、改めてありがとう。今年もよろしく!

(文:福場将太)

前のコラム | 一覧に戻る