コラム

2011年05月『これからもこの街で』

美唄メンタルクリニックが始まったのが平成18年の12月でした。あれから5年と半年が過ぎた今、色々なことを思い出します。

 あの頃は美唄の街に心のクリニックなんかなくて、希望ヶ丘病院と呼ばれる精神科病院が唯一の外来窓口でした。立地の面からもなかなか通院するのが難しく、それで美唄の街中にクリニックを出そうということになったのです。これにより、いわゆる精神科という範疇ではなく、ストレスや不眠など日常のお悩みを抱えた方々も気軽に相談に来てくれるようになりました。また長年希望ヶ丘病院に入院していた患者さんも街に退院し、クリニックに通いながら生活できるようになりました。外来に通っている人でも治療や休養が必要になったら入院し、心が元気になったらまた退院してクリニックに通院する・・・希望ヶ丘病院も美唄病院と名を変え、美唄メンタルクリニックと連携しながら様々なニーズに応えていけるようになりました。クリニックも外来通院だけではなく、往診や訪問看護で患者さんのご自宅や入っておられる施設・病院にお伺いしたり、お酒をやめるための自助グループ「美唄ささえあいの会」も立ち上げられて週に1回患者さん自らの意向に沿って開催されるようになりました。私たちスタッフも出会いと別れを繰り返しながら、嬉しいことも悲しいことも一緒に受け止めてきたように思います。

イメージ あっという間の5年半、この国もこの街も、そして美唄メンタルクリニックも新しい時代に入ろうとしています。時代の混乱にともない、ストレスや不安を抱える人々は増加の一途を辿っています。少子高齢化にともない、悩みを抱えるご家庭も増えてきています。心の医療は今後ますます必要とされるのかもしれません。

 今まで入院治療の時に連携していた美唄病院が設備の老朽化により、その40年の歴史に幕を閉じ、江別の街に移転新築されることが決まりました。来年の春には様々な機能を兼ねそろえた新病院が完成します。美唄の街から遠ざかってしまうのは残念なことですが、近くにいる以上に皆さんに役立ててもらえる病院になることを目指して現在準備が始まっています。そのためにも、美唄メンタルクリニックが今以上に病院と連携し、入院治療や専門治療が必要なときにはすぐ病院で治療が受けられる耐性を整えなくてはいけません。ご安心下さい。新病院は今までと同じく同じ医療法人倫生会 美唄メンタルクリニックの仲間です。これからは美唄メンタルクリニックが街の皆さんの入院相談の窓口となり、きっと今まで以上に入院の面でも皆さんのお力になれると思っています。

 そのための準備としてクリニックはこの5月から美唄駅前のより便利のよい場所に移転し、敷地もサービスも拡大しました、入院とまでいかなくても、心が弱ってしまった方が日中をクリニックで過ごしていくサービスとしてデイケア施設も併設されました。今までと違い厨房で出来たてのごはんをご用意できるようになりました。

・・・手前みそではいけませんね。せっかくの設備に負けないように私たちスタッフも心機一転精進していきましょう。今回のクリニック新装はゴールではありません。まだまだ先は長いですが、これからもこの街で、美唄メンタルクリニックが皆さんの身近な存在であれたらと思います。そしてクリニックが生まれたこの街が、もっともっと愛しくなれたらと思います。

(文:福場将太 写真:Mr.佐藤)

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