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コラム
2010年5月『何にもない日曜日』
いい季節になった。
天気のいい朝は布団を干そう。布団と一緒に太陽の光を全身に浴びて、心もフカフカにしよう。ホコリが気になったら、思いっきり布団叩き。心地よい音が近所の家々にこだまする。そのリズムがお隣さんの布団叩きと重なったら、何だか嬉しくなる。それはきっと、1人で生きてるんじゃない証拠。
お昼になったら、朝昼兼用でブランチといこう。昨日の夜の大ゲンカ…冷え切ったシチューと一緒に、心も温めなおそう。素直に謝れるように、あんまりイライラしないように。今日は少し余裕があるから、優しさも作り置きしておこうか。心の片隅に備えておいて、いつでも取り出せるように。
夕方になったら、洗濯物を取り込もう。オレンジ色の風はカーテンをふくらませて、そっと部屋に流れ込んでくる。その中に薫るお隣さんの晩御飯を推理しながら、ゆっくりとアイロンをかけていく。スーッ、スーッと丁寧に、心のしわも伸ばしていこう。もっと柔軟になって、色々な価値観を受け止めたい。そうすればわだかまりも明日はきっと晴れるから。
夜は闇と静寂を連れてくる。そういえばしばらくさぼっていたギターの弦の張り替え、せっかくだからやっとこうか。古くなってサビついた弦を1本ずつ外す。ギターを磨いた後、新しい弦を張っていく…そして、心の弦も取り換えていこう。時間がゆっくり流れる夜に、ギターと心のチューニング。これからも張り詰めたり緩めたり、時には切れてしまうかもしれないけど、また明日から心を鳴らして生きていこう。命を奏でて生きていこう。
そろそろ眠たくなってきた。
何にもない日曜日。何でもない日曜日。
そんな一日が、きっと心には必要だ。