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コラム
2008年7月『二人のヒロミ』
突然やけど、『ライバル』っちゅう言葉があるけど、皆さんは誰を思い浮かべはりますか?
財前と里見、金田一少年と明智警視、悟空とベジータ、野々原姫子と日々野ひかる、ブラック・ジャックとドクター・キリコ、司馬と石川、亀山と伊丹、紫苑と玉欄、桜木花道と流川楓、オバQとドロンパ、緋村剣心と斉藤一、カイルとラムセス……ま、そんなマニアックな羅列はええんやけど、とにかく仕事からスポーツ、恋愛に至るまで、ぎょうさんいろんなライバルがおるわ。親友とはちゃうけど完全な敵でもあらへん、生き方も考え方もバラバラやのにどこか似とる、気にせんでもええのに何故か張り合ってまう……それがライバルっちゅうおもろい関係や。
別にこのライバルっちゅうんはフィクションの中だけやなくて、現実の世界にもおる。うちらの職場にもきっとおるんやないか。
例えば二人のヒロミや。日々世話んなっとるやつらの中に、ヒロミっちゅう名前のやつが二人おるんやけど、その二人がごっつおもろおてなぁ、まあ今回話してみよかと思ったわけや。
この二人どっちも名前はヒロミやけど、何から何まで正反対で、片方はわっかい道産子のねーちゃんで、もう一方は熱血漢の九州男児や。言葉遣いはもちろん、性格も、特技も、好きなスポーツも、応援しとる野球チームも、ヘアースタイルも、かけとる眼鏡のセンスまで、てんでバラバラや。それやのに二人ともヒロミ……なんか通ずるものがあると思わへんか? ……思わへんか。
まあぶっちゃけこの二人のヒロミがライバルなんかどうかは全然知らへんねんけど、なんかええよな、張り合える関係っちゅうのも。……いや、別にこの二人が張り合っとるかどうかもさだかではないねんけどな。話の展開上、そこらへんは堪忍してや。
でや、人間っておもろいもんでなぁ、うまくやれる相手を必ずしも信頼しとるとは限らん。人当たりがようて、誰ともぶつからんやつ……それはそれですごいけど、ほんまの悩みを相談出来る相手かっちゅうとまた別や。会社の後輩とかでもそうやろ? そら何でも言うことをきいて文句も言わず動いてくれるやつっちゅうのは楽やし、仕事を任せやすい。逆に先輩にも自分の意見を主張したり、組織の軋轢を考えず正しいと思っとることをやるやつっちゅうのは、正直面倒や。せやけど、自分が迷ったとき、ほんまに意見をききたい相手は、もしかしたらそういう自分の考えを持っとるやつなんやないかなぁ。なんやろな、そういうやつは、そら時には批判されたり、孤立したり、嫌われたりしてまう。けど、そういうやつは尋ねたらちゃんと答えてくれる。当たり障りのない言葉やのうて、ほんまの意見を言ってくれる。
多分ライバルっちゅうんは、お互いにそういう関係なんかもな。仲良しやないし、一緒にいて楽しくいわけでもない、考え方も全然ちゃう、けどお互い信念を貫いとることだけは知っとる。せやから、お互いを高め合うことが出来る……かっこええ関係やないか。
うちら医療職は、患者さんやご家族から信頼してもらわなあかん。けどその信頼っちゅうんはいつでもええ顔するっちゅうことやなくて、何かを尋ねられたとき、しっかり自分の考えを言えることなんや。正解のない仕事やからこそ、それぞれの信念が大事なんや。
もちろん医療にチームワークや足並み揃えは必要や。スタンドプレーをすればええってもんでもない。せやけど、意見をぶつけ合わせることも同じくらい必要なんやないか……。
二人のヒロミを見とって、そんなことを考えたりしとる毎日や。
……え、このコラムには無理があるやと? はぁ……、ほんまでっか。