コラム

2007年11月『その名はPSW』

 『チーム医療』という言葉がある。当然ながら、医療というものは医師・看護師だけではなく、様々な職種の人たちがいてこそ成立する。診療科はたくさんあれど、その中でもとりわけ精神・神経科は各職種同士の結びつきが強いように思う。今回は精神科医療チームの役割分担のうち、現在大活躍中のひとつの職種についてお話をしてみたい。

 その名は『PSW』。

 皆さんは彼らをご存知だろうか? 『湾岸警察署』ではないぞ、それは『WPS』。

 『PSW』とはPsychiatric Social Worker、10年ほど前に『精神保健福祉士』が正式に国家資格化されたことによってさらにニーズが増え重要度も増したお仕事である。

 精神科医療が他の診療科と異なる点は多々あるが、その中のひとつに法律が大きく関わる、ということがある。
 もちろん医療そのものが『医療法』『医師法』『薬事法』などなど多くの法律によって定められているのだが、『心』という人間の尊厳の核なる部分に触れ入る精神科医療は、さらに『精神保健および精神障害者福祉に関する法律』という特有の法律で厳重に定められている。

 彼らは、まずはこの法律の専門家である。精神科医療の現場において、法律と照らし合わせたり、様々な書類を作成したりする。またそれだけではなく、彼らは患者さんやその家族の精神保健や福祉に関する相談にのったり、受けられる様々なサービスの説明をしたり、手続きのため保健所や裁判所に出向いたり、デイナイトケアのスタッフとしてメンバーさんたちと触れ合ったり、訪問看護においては看護師さんとともに患者さんのお宅へ出かけたり……とその活躍はとどまるところを知らない。いつも本当にお疲れ様です、とってもとってもありがとうございます。

 美唄メンタルクリニックのPSWさんたちは、みんなそれぞれの個性を持った人間味あふれる男女たちであるように思う。職場でのユーモアも忘れず、患者さんたちの良き相談相手にもなっているようだ。

 ちょうど先月、『精神保健福祉士』の国家試験受験を控えた言うなれば『PSWのたまご』たちが1ヶ月実習に来ていたのだが、彼女たちも笑顔で現場に参加してくれた。患者さんとの触れ合いの中で、何かを感じ取ってくれたのではないだろうか。
 学生の時にしか見えないものがある、未熟な下っ端の時にしか感じられないことがある……ぜひその笑顔と想いを忘れずに、いいPSWになっていただきたい。

 私達のチームにはまだまだ色々な職種の仲間たちがいる。またそのうちご紹介いたしたいが、今回は現在大活躍中の、そんなPSWさんたちのお話でしたとさ。

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