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デイケア活動日誌
2021年05月『守られるべきもの』
北海道にも緊急事態宣言が発令された。蘇るのは一年前の記憶。あの時は新型コロナウイルスについてまだほとんど情報がなかったこともあり、安全を最優先にしてデイケアを一時休止、再開後も当面は参加者数を絞るという対応を講じた。
そして今回再びの情勢。慣れたというか覚悟したというか、今や身近な人がPCR検査を受けたと聞いてもさほど驚かなくなっている。感染対策もすっかり定着し、マスク着用や手指消毒はもちろん、体温測定に体調確認、換気や空気清浄機の使用についても患者さんたちから理解と協力をいただいている。
デイケアという治療は集団で行なうことに意味がある。期待するのは触れ合いによってもたらされる効果なのだ。診察や会議はある程度オンラインでカバーできたとしてもデイケアはさすがにそうはいかない。デイケアを居場所として心の安定を保っている患者さん、デイケアで訓練して就労を目指している患者さんもいるのだ。これは本当に難しい。安易にやめることも、また安易に勧めることも今はできない。またデイケアで重要な位置を占める外出プログラムも今は行き先のほとんどが利用不可、カラオケなどの声を出すプログラムも、机を囲んで語り合うミーティングのプログラムも今は積極的にはできない。つまるところデイケアを開催してもプログラムの充実が難しいのだ。
わかっている、100点満点の答えはない。大切なのは柔軟さ、そして腹をくくること。診療として不十分な所があってもオンライン診察で今をしのぐように、デイケアも必要性と安全性を秤にかけて中庸を選んでいくしかない。
ひとまず今月は参加人数を絞り、密にならないプログラムで開催することとなった。こんな方策はいかがですかと提案してくれたスタッフの臨機応変さにはいつも助けられている。
いつかまた元通りのデイケアが行えるようになった時、ぜひデイケア学会でそれぞれの病院で凝らした創意工夫を発表し合えたらいいなと思う。そこにはきっと新しい時代の新しいデイケアのヒントがあるはずだから。
(文:福場将太)