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コラム2024年11月「本場の味」
今年は夏に講演のお仕事がなく、このまま終わるのかと思いきや、秋になっていくつかお話をいただいた。
まずは11月5日(火)、新篠津村で開催された『心の健康を考えるつどい』という講演会にて、「どこからが病気? 知っておこう、元気な心でいるために大切なこと」というお話をした。
精神疾患、すなわち心の病気を考える上で難しいのは、「何が病気か」「どこからが病気か」ということがそもそもわかりにくいという点。だから心の不調を感じた人も、これは病院に受診した方がよいのか、そうではないのかを判断するのが難しい。さらにいざ受診と思っても、精神科に行けばよいのか、精神・神経科に行けばよいのか、それとも心療内科に行けばよいのかがまたわからない。しかも精神科は「きつい薬をたくさん飲まされてヘロヘロにされるから行っちゃダメだ」という噂も聞く。心の病気を扱う心の医療も、なんだかわからないことだらけなのである。
今回の講演では、会場のみなさんにどんどん声を出してもらいながら、心の病気とは何か、心の健康とは何か、心の病院はどんな時にかかればよいのか、治療にはどんな方法があるのか、ということをお伝えした。少しでも参加くださったみなさんのお役に立てば嬉しい。
また講演のお仕事の楽しみは、これまで知らなかった人たち、行ったことがなかった街との出会いだ。今回新篠津村に初めて訪れたが、名物はキムチで、実際に本場韓国まで行って修行した味であることを教えてもらった。また案内してくださった保健師さんはもう三十年近く新篠津村におられる方で、村の人たちのお顔はほぼ把握、路上でも講演会場でもたくさん声を掛けられて、みなさんと世間話や冗談を自然に交わしておられるのが印象的だった。身近で当たり前でちょっぴり頼もしい村の一因。自分もそんな支援者になれたらと思った。
今月は11月27日(水)にもう一つ、今度は南幌町での講演会が予定されている。内容は春にも行なった睡眠に関するお話のリバイバル。眠りは心にとっても体にとっても健康の基本なので、しっかりお伝えしてきたいと思う。
お話をする動物は他にもいるが、講演をする動物はきっと人間だけ。これからもこの愛しい営みを無理なく続けられたらと思う。
(文:福場将太)