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コラム2024年02月「使えないお金」
先日とある知人とJRで札幌から美唄へ移動した。僕はお金で切符を買って電車に乗ったのだが、知人はスマートフォンを改札にかざすだけで電車に乗り込んだ。昨今普及しつつあるデジタルマネーでの支払いなのだろう。確かに急いでいる時など、券売機に並ぶ手間を省けるので大いに便利である。
ところが車内検札にて、美唄駅にはそのデジタルマネーでの支払いに対応した機器がないことが判明。知人は車内で改めて切符を購入することになったのであった。
しかし考えてみると恐ろしい。もし現金の持ち合わせがなかったとしたら、無賃乗車、あるいは行ったはよいが帰れないなんてことにもなりかねないわけである。
また先日小学校時代からの旧友と話していて、彼がバスに乗ろうとしたら財布には五千円札しかなく、車内の両替機は千円札と一万円札にしか対応しておらず、結局乗れずに歩いて帰ったと聞いた。
別に公共交通機関に物申したいわけではない。この世界はまだまだ不完全、全ての場所でいかなる場合にも対応できるシステムを備えるというのは無理な話。ただ電子マネーにせよ五千円札にせよ、お金として確かな価値を持っているのに環境によっては全くそれが活かせないというのはとても悔しくもったいない。
2024年4月に障害者差別解消法が改正され、民間事業所における合理的配慮が法律上の義務になる。すぐに社会が変わるわけではないだろうが、確かな能力や魅力を持った人間がそれを発揮できる職場環境が増えてくれることを切に願う。
(文:福場将太)