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コラム2023年8月「多面体」
先月末、とある縁でNHK札幌放送局のテレビ取材を受けた。外来での診療の様子、デイケアでの勉強会や合唱プログラムの様子などを撮影、許可してくださった患者さんにはインタビューも行なわれた。そして無事に8月5日(土)の『おはよう北海道土曜プラス』の中で10分ほどの特集としてオンエアー、クリニックでスタッフやデイケアメンバーさんと拝見した。ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました!
この経験で感じたのは、ドキュメンタリーは難しいものだということ。約一週間の密着取材、その中で実際に使用された素材は一部。どの場面を使うか、どんなナレーションを入れるか、何を主題にするかで見え方は大きく異なる。今回担当してくださったディレクターさんは『人間は多面体』というテーマで構成してくださっていた。
人はつい一面的に捉えられてしまう。例えば障害を持つ者は『障害者』というキーワードが前面に出てまるでその人全てが障害者のように思われてしまいがちだ。でも人間は多面体、障害はその人の一面。精神科で障害が診断されたとしても、精神医学は人間を測るたくさんの物差しの中のたった一つに過ぎないのだ。医療従事者自身も『医者』とか『看護師』という肩書きに囚われ過ぎてまるで自分の全てが医療従事者のように思ってしまいがちだが、それだってほんの一面。医者も多面体の人間であり病気や障害の面を持っていても何らおかしくないのである。
今回の特集ではそんなメッセージを伝えてくださったように思う。人間は多面体、このおこがましい仕事を続けていく上でそのことだけは見失わずにいたい。
実際の取材記事はこちら!
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n7078ec370260
(文:福場将太)