コラム

2022年07月「失いたくない心」

 人の幸せを願う。人の幸せを喜ぶ。
 今の日本人にはどれくらいその心が残っているだろうか。妬んだり、恨んだり、疑ったり…そんな気持ちばかりに心が覆われていないだろうか。

 スポーツには勝敗があり勝者がいれば必ず敗者もいる。それでも「いい勝負だった」と敗者が勝者を晴れやかに賞賛できるのがスポーツマンシップである。商売だってそう、受験だってそう、あるいは病気の治療だってそう。うまくいく人もいればそうじゃなかった人もいる。仮に自分我うまくいかなかったとしてもうまくいった人のことを祝福できる心、それこそが今一番失われつつあるものではないだろうか。

 幸せそうな人を疑って、あらを探して、ケチをつける。妬んで、恨んで、ついにはそれが憎悪に変わって相手を攻撃してしまう。誰からも祝福されなければ当然誰かを祝福する気持ちになんかなれない。負の感情ばかりを浴びせられれば、当然周囲に負の感情を向けてしまうだろう。どうにかこの悪循環から抜け出さねば。

 「よかったね、おめでとう、お幸せに」
 素直にそう思える心を失いたくない。

(文:福場将太)

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