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コラム
2021年09月「心の旅人」
修学旅行に卒業旅行、新婚旅行に家族旅行、傷心旅行に気ままなぶらり一人旅と、人生の節目において旅は重要なアクセントである。住み慣れた環境を離れ、普段会わない人に会い、普段見れない景色を見、普段食べない料理を食べる。そんな中で見つけたものがまたその後の人生に役立ったりするものだ。旅は単純なレジャーとしてだけではなく、人間が生きていく上で必要な営みなのである。
ところが今はコロナの情勢、気安く旅をするのが難しい。ストレスが溜まっても気分転換ができず、生き方を見失っても自分探しができない状態なのだ。デイケアでも外出プログラムは全面自粛、僕自身も出勤と買い物くらいしか普段の外出はなく、実家に帰省できる日も果たしていつになることやら。
ただそんな今でも気軽に旅ができる場所がある。それは心だ。心の中なら自由自在に移動しても感染拡大につながることはない。
こんな時だからこそ、心の旅をしてみるのはどうだろうか。色々な感情を巡ったり、懐かしい思い出を巡ったり、あるいは想像の世界に足を伸ばしてみるのもよい。心は宇宙よりも果てしなくて無限な場所。家から出られないのなら思い切って自分の中を旅してみよう。
もちろん一人旅じゃなくたっていい。同じ気持ち、同じ季節、同じ苦労、共有した何かがあるのなら誰かと一緒に心の旅をしてみるのもよいだろう。感情を整理して、思い出から元気をもらって、この時代を乗り切るヒントを見つけよう。
そしていずれ世の中が落ち着いたら、その時は心ゆくまでこの地球を旅しよう。
(文:福場将太)