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コラム
2013年06月「考えるべき時は今」
日本人は節操がない。よく言われることだが、クリスマスお祝ってお寺で除夜の鐘を聞いたら今度は神社にお参りする。結納をしたかと思えばチャペルで愛を誓い、角隠しをしたかと思えばお色直しでドレスを着る。「ナンバーワンよりオンリーワン」なんて歌が名曲だと騒いでいたかと思えば、今度は人気投票で順位を競って盛り上がっている。負けずに頑張ってという歌が流行れば頑張らなくていいという歌も流行る。信念のために命を捨てる姿がカッコいいと言ったり、どんなに汚くても生きている方が素晴らしいと言ったりする。
…どっちやねん!結局どっちでもOKなのが日本人なのだ。どこの国のお祭りでも楽しそうなら受け入れる、どんな信仰の儀式でも心安らげば受け入れる、どんなメッセージでもいいこと言ってそうなら感動する、どんな料理でもおいしければ食べてしまうのが日本人なのだ。本当にあきれるくらい節操がない、こだわりがない、一貫性がない…。
でも、これは日本人のよい所だと思う。どんなものでも受け入れて楽しむことができる、というのは平和な時代においてはとても素晴らしい。宗教や思想をめぐって戦争をするなんて、多くの日本人にはピンとこない感覚だろう。争うよりもどっちでもいいじゃんと受け流せるならそれは素敵だと思う。
しかし現在のようにお世辞にも平和とは言えなくなってきている時代においては日本人のこういった感覚は完全に欠点であり弱点である。不安定な社会情勢を立て直すためには、いくつもの重要な決断をしなくてはならない。例えば政権を選ぶ時、どっちでもいいじゃんでは話しにならない。代表者を選ぶ時に誰でも受け入れますでは何も決らない。一貫性のある信念がなければ目標も方針も定まらないのである。
また最近は「思考停止人間」が増えていると言われる。「どっちでもいい」どころか「どうでもいい」になってしまっているということだ。難しいことはわからない、わからないから考えない。この愛さえあればいいとかただ夢を追えばいいとかそんな言葉で誤魔化して、実際には現実に向き合わず快楽に逃げ込んでいるだけだ。でも信念がなければ人生は切り拓けない。考えなければ愛も夢も守れない。
…考えてみよう。しっかり頭を使ってみよう。知識があろうがなかろうが、天才だろうが凡人だろうが、余裕があろうがなかろうが、自分なりに精一杯考えてみよう。みんなが一生懸命考えて決めたことなら、きっといい結果が出るはずだ。苦手だなんて言わないで、忙しいなんて言わないで、関係ないなんて言わないで。自分のために、自分の大切な人のために、そして日本のために考えなくちゃいけない時がきてるんだ。
正反対の正義でも受け入れられる、どんなものでも愛せちゃうのは日本人の美点で最大の得意技。またそれを発揮できるような、平和な時代を作ろうよ。
*来月より、またあのスペシャルコラムシリーズが始動!
(文・写真:福場将太)