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コラム
2012年11月『スポーツの秋~楽しみのために走る~』
さて、推理小説の方もいよいよ大詰めですが、ここでいつものコラムを。
秋といえばスポーツの秋、という人も多いでしょう。まあ北海道では11月にはもう雪が降ってしまうのであまり秋って感じがしないかもしれませんが、9月とか10月にあなたは何か汗を流されましたか?
我らが美唄メンタルクリニックにも意外なところにマラソンランナーがいます。普段は優しい相談員である彼が、今年はなんとフルマラソンに挑戦するとのことで仕事の後に走りに行く姿をよく見かけました。そして大会では無事完走することが出来たとのこと、素晴らしいじゃないですか。彼に触発されてか、看護師や事務員の中にも休日に走っている職員さんが出てきているようです。
う〜ん・・・運動嫌いの僕としてはマラソンには苦しかった想い出しかなく、休日に自主的に走りに行くなんてにわかには信じ難い行動ですが、マラソンやトライアスロンに参加しているたくさんの人たちの笑顔を見るとやっぱり気持ちいいんだろうなって思います。僕が大好きな映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の中で、こんなシーンがあります。現代の科学者であるドク・ブラウンは西部開拓時代の飲み屋で「未来では馬はいらんのだよ、自動車という乗り物が発明されるからな」という話をします。するとその時代の人たちが質問します、「その自動車ってものができたら誰も歩いたり走ったりしなくなるのか」と。ドクは答えます、「もちろん走るさ・・・ただしそれは楽しみのためにな」。するとその時代の人たちは馬鹿にして笑うのです、「楽しみのために走るだと?走るのがそんなに面白いか?」と。
確かに乗り物のなかった時代と比べ、現代多くの人において『走る』という行動は生活上絶対不可欠なものではありません。汗を流して呼吸を荒くして苦しい思いをしなくても生きていけます。でも人は走っています・・・そう、まさに楽しみのために。そういえば自分も高校時代のマラソン大会や大学時代の柔道部の走りこみで・・・苦しくて嫌いだったけどちょっぴりは気持ちよかった気もします。社会人になってからは10メートル以上走った記憶がありませんが、マラソンに熱中する職員さんの姿を見ていると・・・何だかうらやましくもなります。走りたい・・・そんな気持ちが少しだけわいてきます。もしかしたらこれは人間の純粋な欲求の1つなのかもしれません。そして、これから先どんな便利な時代が来たとしても、忘れちゃいけない気持ちなのかもしれません。
子供の頃の鬼ごっこ、学生時代の体育祭や部活の大会・・・僕らはいつだって汗をかいていました。それが今じゃどうでしょう、仕事だなんだに追われながらクーラーのきいた部屋で過ごしています。
・・・走ってみようか。汗をかくのがサウナに入る時とラーメンを食べる時だけじゃあ心までオッサンになってしまう。来年はもっと汗をかきたい。荒くなった呼吸、破裂しそうな心臓、カラカラの喉、そして筋肉痛・・・それらの心地良さを忘れないために。
とまあカッコいいこと書いてますが、まずは当直の夜のカップラーメンをやめるところから始めなければいけませんね。
(文:福場将太 写真:メロス深谷)