コラム

2010年11月『家族の一員』

最近、職員のご家族がクリニックにやって来る。それはインフルエンザの予防接種を受けるためなのだけれど、その人たちに会うのは何だかとても不思議な感じだ。「妻がいつもお世話になってます」なんて言われると、あぁこの職員さんは家では奥さんなんだ、なんて当たり前のことを今更認識する。そうなんだ、白衣を着ていない時はみんなお母さんだったりお父さんだったり、息子だったり娘だったり、兄弟だったり姉妹だったり…僕の知らない「家族」という別の職場の役割を担っているのだ。クリニックとは違う顔をして、違う話し方をして、違う姿をしているのだ。なんか不思議だね。
もしかしたら訪れた家族の人もそんなふうに思うのかもしれない。白衣を着ているときのお父さんやお母さんの姿、旦那さんや奥さんの姿はきっと家にいる時とは違うだろう。頼もしく見えるのか、心配に見えるのか…そう考えるとこれはまるでちょっとした授業参観、お互いになんだか緊張感があったりするのかもしれない。

イメージこの仕事をしていると色々な家族の形を見る。離れていても繋がっている家族もいれば、近くにいてもバラバラの家族もいる。そしていつも思う…何にもない家庭はないと。どんなに恵まれたように見える家庭にも必ず悲しみがあり、抱えている悩みがある。職員さんの家庭にだって、それぞれの苦労があるに違いないのだ。でも、悲しみや苦労を家族で分かち合っていけたなら、そんな家族がいてくれるのなら…やっぱりそれは幸せなことだろう。

家族がいるのはありがたいことです。面倒くさくてわずらわしいことも多いけど、それでもやっぱりありがたいことです。この命、この人生は自分だけのものではない。見えない糸で繋がっている小さな家族の一員として、恥ずかしくない生き方をしよう。

さぁ職員の皆さん、今日も一日頑張りましょう!

前のコラム | 一覧に戻る | 次のコラム