コラム

2010年9月『2010年学びの旅 〜後編in仙台〜』

イメージ9月16日〜19日、デイケア学会に参加するため宮城県は仙台市に行ってきました。みなさんは「精神科デイケア」というものをご存知ですか?デイケアは、心の病気を抱える方々が日中の一定時間集まって、メンバーやスタッフと一緒に行う様々な活動を通して病状を回復・安定させていく治療です。言葉で言ってもあまりピンとこないかもしれませんが、デイケアの役割はに参加する患者さんによってそれぞれです。退院したばかりの方が元の生活に戻る前のリハビリの場であったり、対人交流の練習の場であったり、日中を有意義に過ごすための場であったり、1人でいたくない時のかけこみ寺であったり…。どうやら心の病気というものは、1人でダラダラ過ごしていると悪くなってしまうことが多いようで、いつでも参加できる活動の場、自分の居場所があるというのは心の健康にとってもいいことなのです。それぞれの目的のもと、毎回欠かさず参加する方もいれば時々ふらりと参加する方もいる。目的を達成して卒業していく方もいる…それがデイケアなのです。…なんとなくでもイメージがわきましたか?

新千歳空港から飛行機に揺られること1時間余り…辿り着いた仙台市は夜の雨に見舞われていました。さっそく仙台駅で名物の牛タンを堪能し、われら医師・看護師・精神保健福祉士の3人組は学会が行われるホテルへと落ち着きました。そして翌日の開会式、精神科医療の中でもとりわけデイケアに携わるスタッフが結集していました。それから2日間、時には睡魔に襲われながらもたくさんの発表を耳にすることができました。全国それぞれの病院で、それぞれの規模で、それぞれの特色を活かしたデイケアが行われていることを実感できました。どこでもうまくいっていることいないことがあるのでしょう。デイケア治療は薬の調整とは違います。どんなふうに患者さんと接すればいいのか、どんな活動内容がいいのか…スタッフの葛藤は尽きません。何か1ついい方法論が見つかっても、それを言葉で伝えるのは難しいしそれが他のデイケアでも有効とは限らないわけです。まあそれが心の医療の醍醐味なのですが、だからこそこの曖昧で難解なテーマに挑んでいる仲間が全国にたくさんいるのを実感できたことは、先月の久里浜同様とても嬉しいものでした。

我らが医療法人倫生会のデイケアに「あゆみ」という名前がついて早1年。名付け親はもちろんメンバーさん自身、それぞれの目的に向かって焦らずのんびり生きていこうというのがコンセプトです。デイケアはメンバーさんとスタッフで作っていくもの。今回の学会で、「あゆみ」を今よりも充実させていくいくつかのヒントを見つけた気がします。デイケアとはそう、メンバーさんそれぞれの目的地に繋が今のる居場所なのです。

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