コラム

2010年8月『2010年学びの旅 〜前編in久里浜〜』

8月23日〜26日、神奈川県は久里浜で行われたアルコール依存症の研修に参加してきました。その舞台はもちろん「久里浜アルコール症センター」…アルコール医療に携わる者ならその名を知らない者はいない、まさにアルコール医療のメッカである。その歴史や功績についてここで僕が語るのはあまりに恐れ多いのでさすがにいたしませんが、その伝統ある研修に参加できたことは本当に名誉なことだとはっきりと言えます。本当にありがたく充実した4日間でした。

京急久里浜駅からタクシーで行くこと十数分、学生時代から何度もその名を耳にしてきた聖地に僕は降り立ちました。最初に迎えてくれたのは潮の香り…厳しい残暑を心地よく忘れさせてくれる海風が敷地内を通り抜けていました。今回宿泊でもお世話になる研修棟と呼ばれる建物はとても綺麗で、ひとまず自分の部屋に荷物を置く。そして向かった講義室には全国から50名ほどのドクターが集っていました。普段は職場で先生と呼ばれているみなさんもここでは研修生、4日間苦楽をともにする仲間なのです。開校式が終わり、さっそく研修が始まる。研修は講義が中心だが、病棟での実習もある。できるだけ患者さんたちの迷惑にならないように注意しながら、色々見学させてもらいました。指導して下さるのは久里浜アルコール症センターのドクター、ナース、心理士、福祉士さんらが中心で、診療に役立つ知識や技術、心得をたくさん教えてくれました。目が覚めるような瞬間が何度も何度もありました。いや〜それにしてもこんなに講義を受ける日々なんて、学生時代以来ですよ。

アルコール依存症は飲酒が常となり、心と体がボロボロになってもその飲酒行動が制御できなくなってしまう病気。お酒というどこにでもある嗜好品が原因となるため、誰でもわずらう可能性がある病気。うつ病の抗うつ薬、不眠症の睡眠薬のように直接的な治療薬がなく、患者さんが心と体に健康を取り戻すための方法は単純ではありません。精神療法・行動療法など薬物以外の治療法が活躍できるという意味ではとても精神科らしいとも言えるけど、それゆえに治療法の確立が難しい。そんな話を休み時間に他のドクター…もとい研修生たちとすることができたのも今回の大きな収穫でした。みなさんそれぞれの条件の中でアルコール依存症の治療に挑んでいる。試行錯誤している同志が日本中にたくさんいる…そんなふうに思うとなんだか嬉しくなる。それを実感できたのも今回の大きな収穫です。

イメージそんなこんなで4日間は過ぎ去り、今回の研修生たちは全員無事研修終了証書をもらうことができたのでした。今はみんなまた研修生からドクターに戻って、それぞれの病院で診療にあたっておられるでしょう。今回学んだことを、ぜひ目の前の患者さんの治療に活かしていきましょう!そして「美唄ささえあいの会」のメンバーのみなさん、断酒を頑張っている仲間は久里浜にもたくさんおられましたよ!

さて来月はデイケアのお勉強、次の舞台は宮城県です!

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