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コラム
2007年7月『美唄、という街』
『美唄』を『びばい』とちゃんと読める人は、今の日本にどのくらいいるだろうか。
もともとは『ピパ』というアイヌ語に由来するこの市名は、かつては炭鉱の街として北海道以外の人にもそれなりの知名度があったときく。現在、その炭鉱が閉鎖され40年あまり……市の人口は当時の3分の1以下となり、この美しい市名の知名度も残念ながら下がりつつある。
焼き鳥や温泉、渡り鳥が見られる沼など素晴らしい名物はいくつもあるのだが、やはり炭鉱に代わる主たる産業がないせいか、街にはかつての勢いはないようだ。しかし、だからといって市民の街に対する愛情までもが減少しているわけではないように思う。街を盛り上げようとする数々のイベントが企画され、そこには市民の笑顔がある。市民の笑い声がある。
そして今、美唄は『炭鉱の街』から新しい姿へ生まれ変わろうとしている。それは『福祉の町』だ。
ストレス社会、そして高齢化社会の渦中にある日本において、福祉の充実は重要な課題である。美唄は今、『福祉の街』として歩き出している。
そんな美唄にこの『美唄メンタルクリニック』が開設して半年が過ぎた。様々な悩みを抱えた方々が毎日外来を訪れる。また訪問看護やデイナイトケアといった地域に根ざしたサービスの利用者も増えている。
医療は、場所によってその形が変わるものだ。美唄には美唄ならではの医療があり、求められるサービスがあるはずだ。美唄だからこそ実現できる精神科医療の形があるはずだ。
『美唄メンタルクリニック』はまだまだ始まったばかり、これからも患者さんとスタッフの距離を近くとってよい形へと変わっていけたらと思う。
美唄が『福祉の街』あるいは『精神科医療の街』として生まれ変わり、再び日本中の人がこの美しい地名を読めるようになる日が来るのを楽しみにしていたいと思う。