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コラム
2021年03月「春待ちロマン」
現在クリニックが開院して十五年目であるが、これほど壮絶な冬がかつてあっただろうか。2月末に発生した市内の大規模断水、さらには3月初冬の大雪害、そしてその後のガス管トラブル…と、コロナだけでも大変なのに輪をかけての大わらわであった。予定していた治療プログラムが中止になったり、水道やトイレが使えなかったり、スタッフが出勤できなかったりと患者さんにも多大な迷惑をかけた。当たり前に暮らせること、当たり前に働けることがどれだけ有難いかを、僕らは再認識することとなった。
そして一連の騒動がおさまった頃、奇しくもあの大震災からちょうど十年が経過した日。今回僕らが経験した不便さはもちろん足元にも及ばないけれど、被災するということ、復興するということは本当に簡単ではない。
最近ようやく気候が落ち着いてきている。こんなに春の訪れが嬉しいのも初めてだ。大変なことばかりだけど、それでも一人一人が夢見たり、幸せになろうとしたりする気持ちを忘れてほしくない。
本州からは開花の報せが届いている。こちらの桜はまだ遠いが、もう桜を見ている人たちもいるのだと思うとなんだか嬉しい。
もっともっと暖かくなれ、もっともっと明るくなれ。
春よ、来い!
(文:福場将太)