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コラム
2013年01月「モチベーション」
あけましておめでとうございます。みなさん今年もまた1年頑張っていきましょう!…と言葉で言うのは簡単ですが、この「頑張る」っていうのがなかなか難しいもの。人それぞれ頑張る理由も力加減も違うからです。どんな職場だってきっとそうでしょう、見渡してみれば働くモチベーションは人それぞれ…それが当たり前です。リーダーにとって、一番大変なことは「いかにモチベーションを統一するか」ということだと思います。そもそも統一しなくてはいけないのか…そんなところから悩まなくてはいけません。今回はそんなお話をしてみましょう。
大学時代の音楽部でも、この「部員のモチベーションの違い」が歴代キャプテンを悩ませてきました。「どんどん練習して演奏が上手くなりたい」という部員もいれば、「まあほどほどに練習して楽しくやれればいい」という部員もいます。中には「他の部活もやっているからそんなに練習出来ない」という部員だっているのです。そんな部員たちでどんなバンドを編成すればいいのか…これは非常に難しい問題。歴代キャプテンたちは毎年試行錯誤でした。
あるキャプテンは同じモチベーションの部員同士でバンドを組ませました。そうすると上達したいバンドはどんどん練習し、楽しくやりたいバンドはどんどん飲み会をしました。そしてライブ当日、確かにバンドごとに完成度の差が目立ったものの、それぞれ楽しそうでした。特に部活をかけもちしている部員同士で組んだバンドは、お互い忙しい中でやっている境遇を理解しており、とても満足そうに演奏していました。しかもかけもち先の部活の仲間が応援に来たりして、これはこれで意外な盛り上がりを見せたりしたものです。
またあるキャプテンはモチベーションや部活かけもちなどの事情をあえて考慮せず、「みんな同じ音楽部員」としてランダムにバンドを編成しました。確かにこの方法は部員たちに楽しさよりも大変さをたくさんもたらしましたが、結果的に部員全体の技術を向上させ数年後に大きく実を結びました。辛いこともたくさんあったけど、音楽部の歴史に大きく貢献したように思います。
どちらの方法が正しいのか、それは今でもわかりません。そもそも音楽部は運動部と違って「大会で結果を出す」といった明確な目標があるわけでもないからなおさら難しい。「よいライブをするのが目標」といったって「よいライブ」の定義だって人それぞれですから。ただ程度の差こそあれみんな「音楽が好き」だから所属しているわけであり、その気持ちが残っている限りは大抵のトラブルは乗り越えられたように思います。
でも仕事となるともっと難しい。必ずしも好きだからやっているわけでもないし、生活だってかかってます。モチベーションはもっとバラバラ。例えば病院にだって色々なモチベーションの職員がいます。「どんどん技術を磨いていきたい」と勤務時間外に研修や勉強会に積極的に行く職員もいれば、「時間外まで勉強したくない」という職員もいる。仕事が生きがいの人もいればそれ以外のところに生きがいを持っている人もいる。どちらが正しいとかはありません。勤務時間中に自分の仕事をしっかりこなしていれば責められるいわれはないのです。しかしこの「どちらが正しいか」という物差しは往々にして比率で決まってしまいがち。例えば「休日に研修に行こう」という職員が多くなればまるで行かない職員が悪いように見えてしまう。逆に「勤務時間外は休もう」という職員が多くなれば時間外に勉強する職員が浮いてしまう。「医療職である以上生涯勉強するのは当たり前、職員は技術の向上を目指さなくてはならない」…確かにそれが理想なのはわかっていますが、人それぞれ事情があるわけだからそれを強制するわけにもいきません。それぞれの事情もある程度考慮しつつ、いかによりよい医療を目指していくか…その上「よい医療」の定義は何なのかなんてことまで考え出したらもう頭が大混乱。リーダーってのは本当に大変だと思います。管理職のみなさん、いつも本当にお疲れ様です。
理想のリーダーはどうあるべきか…これもまた永遠のテーマですね。私にとって理想のリーダーの1つの姿として思い浮かぶのは、大学時代の柔道部のキャプテンだったあの人。「アニキ」の愛称で慕われたあの人です。いつも空回りでオッチョコチョイ、正直頼もしいとかカッコイイとか思ったことはあんまりありません。ある時試合で優勢だったのに、隣の試合場の笛を聞いて勘違いして闘うのをやめてしまいあっさり投げられたこともありました。…もうあきれるくらいドジな人、でもアニキのキャプテンの下では練習をさぼる部員はいませんでした。今でも不思議、アニキは怒鳴るなんてことも全くなかったのにみんながアニキを立てて笑顔で練習に励んでいたのです。それは何故でしょうか?もちろんアニキの人柄もあるとは思うけど、きっとアニキが誰よりも一番練習しているのをみんなわかっていたからだろうと思います。オッチョコチョイでも誰より頑張るその姿にみんな自然についていきたい、気体に応えたいと思った。…まさに人情味のなせる業。音楽部とのかけもちで柔道に全く興味のない私が6年間柔道部を続けられたのも、アニキの存在があったからだと思います。
そんなことを考えているお正月。お餅の食べ方は人それぞれ、お雑煮も家庭によって味付けはそれぞれです。まあモチベーションもそれぞれあれど、味付けの決め手はやっぱり人情味ですかね。お後がよろしいようで。
(文:福場将太 写真:瀬山夏彦)