デイケア活動日誌

2016年8月『8月 すずらんの集い』

 心の医療において、ご家族の存在は非常に重要です。ご家族の理解・協力があるかないかで患者さんの回復の幅は大きく変わります。その一方で、なかなか理解したり受け入れたりするのが難しいのが心の医療でもあります。
 心の医療を受ける、ということはご本人にとってはもちろんご家族にとっても大きな戸惑いです。まだまだ『精神科』というものに対して誤解や偏見が根強いと言う日本の現状もありますし、心という見えないものを相手にする医療もまた見えにくく、ご家族が不安を強めてしまうのも当然だと思います。
 ご本人が病気になったのは自分のせいだと感じて全てを抱え込もうとする方、ご本人に申し訳ないという思いから治療をやめさせようとする方、ご本人のことを周囲に隠そうとする方、ご本人と距離を置いてしまう方…ご家族の気持ちは様々です。だからこそ私たちスタッフはご家族の心にも寄り添わなければいけないといつも感じます。

 そんなわけで、美唄すずらんクリニックの8月は卓球大会に燃えながらもう一つの挑戦を行ないました。それが8月2日に決行したデイケア家族交流会『すずらんの集い』です。その目的は色々ありますが、まずは現在デイケア利用されている患者さんのご家族に実際の活動の様子を見てもらい、当院の治療理念や心の医療についての理解を深めて頂くことを今回は第一としました。

■プログラム■
10時30分開会あいさつ(星野院長)
自己紹介を兼ねてご家族も参加でのジャンケン大会
11時30分ご家族の院内施設見学
12時00分ご家族も含めての昼食(カレーライス)
13時00分ご家族も含めてのスカットボール大会
14時00分講演会「心の医療はみんなで」(福場)
15時00分閉会

 初めての試みだったのでもちろん反省点も多いですが、まずは勇気を出して行なってよかったというのが僕の感想です。日々の業務もしながら企画・立案そして当日運営してくれたスタッフのみんなに感謝です。参加下さったご家族からは「デイケアの中身がわかってよかった」「本人が元気にしている姿が見られて安心しました」などの有難いお言葉も頂戴し、ぜひ今後に活かしていきたいと思いました。福場個人としては講演会の内容がちょっと堅苦しかったかなというのが反省点。次回はもっと工夫したいと思います。

 何はともあれ無事終わった『すずらんの集い』ですが、もちろんこれが第一歩でありここから始まっていかなければなりません。現在冬頃第二回を開催すべくスタッフと協議中。
 実は今年度、これ以外にももう一つ新しいプロジェクトが始まっておりまして、それもあってなかなか恒例の『ギターで合唱』が行なえておりません。ですが今はそれもやむなし。少しずつ形になってきている新プロジェクトをいずれご紹介できる日を楽しみにしているところです。

 今回改めて考えた『家族』というもの。自分にとってももちろんそうですが、誰にとっても家族とは重要な存在。特に日本では公的にも私的にも家族の繋がりを無視して話をすることはできません。
 病院スタッフは確かに医療の専門家ですが、良くも悪くも制度や組織の中にいるためいつでも患者さんにとって最善かつ最速の動きができるとは限りません。でも家族は違います。ご家族は自由な手でご本人を支援することができます。スタッフには無理難題でもご家族ならすんなり叶えられるご本人の願いがたくさんあるのです。
 それに僕たちスタッフは病気を患った後のご本人としか出会うことができません。でもご家族はご本人の昔を知っています。元気だった頃を知っています。ご家族からのお話は、スタッフがご本人の心を理解するためにとても大切な情報なのです。

 さてさて、色々考えるうちにも日々は過ぎていきます。上半期最後をしめくくるデイケア行事であるリンゴの収穫&販売も間もなくです。今年は江別すずらん病院だけではなく、リニューアルした北広島メンタルクリニックにも行商に伺う予定ですのでお楽しみに!

(文:福場将太)

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