コラム

コラム2024年12月「依存症課の冒険 真冬の南国讃歌」

 依存症課は週2回、水曜日と金曜日にミーティングプログラムを行なっている。これは依存症治療の支柱となるもので、同じ悩みを持つ仲間同士が支え合うという意味はもちろん、お互いの経験と知識を共有する意味でも、この難病からの回復には欠かせないものである。
 とはいえ毎回依存症の話ばかりしていては息が詰まる。そこで10月に初の試みとして開催されたのが焼き芋であり、天高い空の下で秋の味覚を味わうプログラムは、メンバーさんにもスタッフにも好評を博した。

 今回はその第2弾のリフレッシュプログラム。雪深い北海道で屋外に出るのは過酷なため、体育館を用いてのプチクリスマス会となった。時は2024年12月25日(水)、まさにクリスマスである。

 目玉は心理士発案によるビンゴ。3×3の9マスに各自好きな食べ物の名前を記載し、順番に一人一つずつ読み上げる。読み上げた人はそこに穴を空けるわけだが、もし他の人でも同じ物を書いていたら穴を空けてよし。こうやって三つ穴が並んだ人がビンゴというわけである。
 結果、メンバーさんは全員ビンゴを達成。やはり寿司・焼肉・ラーメンなどを書いていた人が強かった印象。上がった順に好きな景品をゲットした。一方でスタッフはほとんどビンゴにならず、発案者の心理士自身もスイーツ好きがたたったのか惨敗に終わった。ただこうやってみんなで楽しみを共有するのは精神科ケアの基本であり、普段発言が苦手な方とも遊びを通せば心を通わせることができるのである。

 会の最後は、依存症課の課長の謀略によって医師がギター弾き語りを披露。思えばコロナ禍前は病棟合同クリスマス会でこうやってここで歌っていたことを懐かしく思い出す。今回のセットリストは以下のとおり。

  • M1.涙そうそう
  • M2.翼をください

 1曲目は雪が降る中であえて沖縄の名曲。ただ広い体育館で独唱するのはあまりに寂しく、スタッフからの蔑みの視線にも耐えられないので、2曲目はメンバーさんにも口ずさんでもらった。思えば依存症勉強会のみんなで歌うなんてこれが初めてである。

 一年間、勉強お疲れ様でした。お酒やギャンブルをやめている人にとって、年末年始は誘惑が増える難関ですが、今年身につけた知恵と勇気で乗り切ってください。また来年みんなで学び合いましょう!

(文:福場将太)

前のコラム | 一覧に戻る