コラム

2021年02月「無理なものは無理」

 当法人は、『地域に根ざした医療』を理念の一つにしている。心の医療は病院によってやり方が大きく異なる。それはもちろんスタッフの考え方や信念の違いによる部分も大きいが、地域性による部分も大きい。患者さんの悩みも、活用できる資源の数も、町によって異なるのだ。当法人は今のところ江別・北広島、そして遠く福岡にも系列病院があるが、医療のやり方はそれぞれである。その町のニーズに合った医療の形というものがあるのだ。

 だが理事長先生はこうもおっしゃる、「できないことまでしようとしなくていい」と。これはけして手を抜けという意味ではなく、病院だから医療だからと何でもニーズに応えようとすると、破綻して結局患者さんの不利益になってしまうということ。無理なものは無理とはっきり伝えた上で、じゃあどうしていこうかと一緒に考えることが重要なのである。

 新米の頃は、僕もついつい患者さんやご家族、関連施設の期待に応えようと何でも「いいですよ」と返事してしまい、逆に患者さんに迷惑をかけた。病院のスタッフも人間だから、何でもできるわけではない。「どうにかしてください」と頼まれても、すぐにはどうしようもない問題はたくさんあるのだ。

 特に今はコロナの情勢でいつもならできることもできない。普段なら割ける時間が割けなかったり、提供できる治療プログラムが提供できなかったり。入院治療もその一つで、入院の相談を受けたとしてもすぐに江別の本院のベッドを調整できるとは限らないのだ。病棟は厳戒体制、院内感染を起こさないための手順はわずらわしくても踏まなければならない。
 もちろん必要な入院治療ができないというわけではない。ためらわず相談はしてもらって構わない。ただ普段のようなスムーズさを求められるとそれは難しいのが現実。ご迷惑をおかけするが、そこはご理解の上ご協力いただきたいところである。

 日本にコロナが広まって一年。ゴールの見えないマラソンに誰もが疲れてきているが、みんなでもうひと踏ん張りしよう。

(文:福場将太)

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