コラム

2010年7月『独立記念日』

7月4日はアメリカ独立記念日だ。洋画なんかを観ていると、この日を題材にした作品がたくさんある。その中でも僕は、「インデペンデンス・デイ」が好きだ。
ご存知の方も多いだろうが、簡単にストーリーを。ある日突然巨大宇宙船が地球を攻撃してくる。主要都市は壊滅的な打撃を受け、軍隊の反撃も全く通用しない。もはや万事休すかと思われたが、ある人物のアイデアで起死回生のチャンスが生まれる。そして、人類の命運をかけた最後の総攻撃の日が奇しくも7月4日であり、アメリカ大統領は怯える戦士たちに高々と宣言するのだ…
「もう些細な違いにこだわっていてはいけない。我々は共通の目的のために団結する。今日が人類の独立記念日だ!」と。

まあ政治的・社会的な見方をすれば異論を唱えることもできるかもしれないが、娯楽作品として僕は非常に気に入っている。この映画の魅力は戦争やSFではなく、人類滅亡の危機の渦中における人間ドラマなのだ。特に好きなのが、大統領や軍人だけではなく、ケーブル屋や農薬散布のおっちゃんなど最初はバラバラに存在していた人達がやがて集い、立場を越えて協力しそれぞれの得意技を活かして人類の勝利に貢献するところだ。自分に自信がなかった人も、非常事態においてはもう持ちうる技術と知識を駆使するしかない…でもそれはきっと、何よりも大きな力になる…そんなことを感じさせてくれる作品だ。

まあフィクションと言われればそれまでだが、実は1年前の7月、この職場でも少しだけそんな体験をした。8月以降新体制で病院を続けていくために、各部署が集い、公式・非公式含め何度も話し合いをした。それぞれの知恵を絞り出してはアイデアを生み出し、行動しては壁にぶつかってまた苦悩した。大変だった日々…でも、その時確かに感じたことは…みんななんて頼もしいんだってことだ。今まで気がつかなかったそれぞれの情熱、理想、信念を知った。自分1人では見失っていたことがたくさんあった。誰か1人、スーパーマンがいたわけじゃない。誰もが不完全で不安を抱えた臆病者。でもそんなみんながいてくれたから乗り越えられたんだと心からそう思う。勇気とか強さなんて、1人じゃ生み出せないんだ。

イメージ…もちろん自分たちに酔っていてはいけない。あの頃を思い出しても後悔と反省ばかりだ。でも、これだけは言える。別にエイリアンとか敵がいたわけじゃないけど、あの時僕たちは仲間になれたんだと。

てなわけで7月は僕たちにとっても独立記念日だ!…ってのはさすがにこじつけが過ぎるけど、あの時学んだことを、感じた団結を、これからも大切にしたいと思う。僕自身も含めて、ここにいるのはみんな一クセも二クセもある連中だ。そんな頼りなくて頼もしい仲間たちと一緒に医療に携わっていけることを、幸福に思う。

「もう些細な違いにこだわっていてはいけない。我々は共通の目的のために団結する。今日、我々の独立記念日を祝おう!」

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