コラム

2007年9月『楽しい職場を作りましょう』

 今月半ば、1人の男性事務員さんが転勤で美唄を去った。
「サラリーマンの宿命や」と本人は笑っていたが、次の勤務地は九州だというのだからやはり大変な話だ。まるで渡り鳥のように日本列島を北から南へと……転勤も既に5回目なのだという。
 医療という正解のない仕事の事務職、というものの大変さは私たち現場の人間には到底計り知れないが、まさに縁の下の力もちであり、何事もうまくいって当たり前……うまくいかなかった時だけ現場から苦情の声が上がる、という非常に難儀なお仕事だと思う。いつも本当にお疲れ様です。

 仕事はサークル活動ではない。だから、どうしても出会いと別れはくり返されるし、苦汁の決断を迫られる時もある。それぞれの立場があるから、みんながみんないきなり分かり合ったり仲良くなったりするのは相当に難しい。
 でもせっかく出会えたのだから……一時でも同じ季節を過ごしたのだから……出来ることなら共有した時間をお互いの人生の中で価値あるものにしたいと思う。
 まあ、『価値あるもの』なんてのは大袈裟な言い方で、要するに楽しいものにしたいということだ。

 人間関係とは本当に不思議なもので、私も今回去った事務員さんと初めて出会った頃は、まさかお別れ会で抱き合う日が来るなんて思いもしなかった。きっと、知らないうちにたくさんの時間が共有され、それが心に積み重なっていたのだろう。信頼とか絆なんてものは、そんなふうに気がつけば紡がれているのかもしれない。
 
 また、彼への別れのプレゼントとして、色紙の寄せ書きが贈られた。なんか、学生時代を彷彿とさせる懐かしい代物だが、喜んでもらえたなら幸いだ。これも別の事務員さんの提案で企画されたことで、安上がりではあるが微笑ましさは抜群、これこそが記念品というものだ。こんなちょっとしたことが職場を楽しいものにする。想い出を懐かしいものにする。日常の何気ない会話の中に、あるいは職場の片隅に、毎日をもっともっと楽しく出来る種が、きっと転がっているはずだ。ゆっくりでいい、のんびりでいいから、ちょっとずつその種を芽吹かせて、花を咲かせていこう。なんか最近、医療法人倫生会はいい雰囲気になってきてる気がするのは……私だけだろうか?
 寄せ書きの色紙、ちょっとした気遣い……そんなさやかな人の心のぬくもりに触れると、なんだかとっても嬉しくなる。数字にならない財産…私たちが仕事からもらっているものはお給料だけじゃないんだなぁと、改めて気づかされたのだった。

 極寒の地から温暖の地へ……次の職場でも、お体に気をつけて頑張ってください。ともに楽しい職場を作っていきましょう。

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